自転車旅行というからには、自転車に乗ってばかりいるワケですが(笑)、拠点をひとつにしたままの旅というのは、私達にとっても初めての経験でした。これまでの旅は、どちらかというと「移動すること」と「自転車を楽しむ」が同列で、時には気に入った村で2ー3泊することはあっても、拠点は常にその場所を変えていました。今までの私達の旅のハナシをご存知の方には、「宿探しに奔走」するドタバタ劇が、今回は無いことに気付かれることでしょう(笑)。
そんな今回の旅の拠点となったのはMartigne-Briandという、Nantes空港から約100km東、Angersの北に位置する小さな村でした。見渡す限りの葡萄畑から作られるワインが名産とのことで、村の中央には古城/教会、バー/カフェにレストラン、スーパーマーケットに薬局、忘れちゃいけないパン屋さん。人口は約2000人といったところでしょうか。
渡仏2日目、実質のサイクリング初日のこの日は、軽く散策ライドということで、約20km北西にあるGennesというLoire川沿いの町を目指して走りはじめました。D70という、町とまちを繋ぐ直接ルートを使っての移動でしたが、思っていた通り交通量は少なく、道路はスムースで日差しを浴びながらのサイクリングはこの世の天国♪
Loire川を渡って、ローカルの人達で賑わうバー/レストランで食事をすることにしました。これまで、フランスのレストランで食事をした時は、何もかもが珍しくて、いちいち写真を撮っていましたが(そしてブログでお披露目していたワケですが)、何故か今回は一枚も「食べ物」の写真がありません。はしゃぎ度は変わっていないハズなのに、なんででしょうか、不思議です。
とにかく、注文です。ほんのちょっとですが、学んだフランス語を活かしたい!
・・・とまぁ、気合いは十分だったんですケドね。「生きて」いる言葉はそりゃもう早いの何の(笑)。「これは何ですか?」と聞くことはできても、その答えがよくわからない・・・(笑)。魚、肉、鳥、あひるは判っても、それをどう調理してあるかまではワタシの理解能力を遥かに越えてしまっていたんですね。
結局、メインは「豚肉」であることが判明して、一見落着。しかし、あてずっぽうにメニューを指差し、運ばれてくるまで何であるかわからない、というようなオーダーからは進歩しているハズ?!(運ばれてきても何であるかわからないコトもあるのですが・・・)。
前菜は冷パスタのサラダ。クリーミーなドレッシングはフレンチならでは。ワタシはクリームっぽい、油っこいモノにはそりゃもう目がなくって(笑)。メインは約束通りの(笑)豚肉でしたが、これがまたバターのように柔らかい!!ポテトフライはサイコロのようで見目良く、そのあとのチーズはとろけるブリー。そしてお待ちかねのデザートは、クリーム・ブリュレ♪例えバケツ一杯だって軽く入ってしまうと思う位、大好物なんです。ワインも美味しく頂いて、満足、満足。
すっかり良い気分でレストランを出て、川沿いのサイクリング・ルートをSaumurに向かって、ゆっくりと流します。木陰にテーブルを出して、ゆっくりとランチを楽しむ人、椅子を並べて読書をしているひと、楽しそうにおしゃべりをしながら、編み物をしている老齢の女性達の姿には、時間を、人生を、こよなく愛し楽しむ優雅さがあります。サイクリスト同士でなくったって、気軽に挨拶を、笑顔を交わせるって何て素敵なんでしょう。
サイクリング・ルートを外れて道路に出て、少し走り始めたそのとき、後方から迫ってくるサイクリストの集団が近付いてきました。宿の主人でもある友人もまたサイクリストなので、冗談混じりに「きっと彼とその仲間達に違いない」と話していると、まさにその通り!地元サイクリング・クラブのトレーニング・クラブランの帰りだという彼らにしばし合流して併走しましたが、英国のそれとは何かが違います。皆さん良く陽に焼けた、発達したおみ脚の持ち主で、走りも力強い気がしました。多分、気のせいなんかではないのでしょうけど(笑)。
この辺りの地形はうねってはいるものの、「これ」といったクライムは無く、ぐいぐいとコンスタントに走ることのできる環境からして違います。信号も無く、限りなく続いている車の無い道路を、時には和気合い合いと、時にはレーシング・スピードで競争しあったりしながら、お楽しみ色の濃いトレーニング・ランのように見えました。
すっかり疲れて宿に着き、夕昏を眺めながら、夕食はバゲットにパテをてんこ盛りに生野菜をたっぷり挟んだサンドイッチ。風がひんやりと肌に優しく、遠くで聞こえる教会の鐘が途切れると、虫の鳴き声が聞こえてきました。あとはただ静寂。
写真は村自慢の古城/教会。