蛙の声が、鳥の歌に取って代わる5:00少し前にくっきりと目覚めました。この時間に起きよう、と決めたわけではないのに、なぜかこの時間になるとスイッチが入ったように活動したくなるのです。就寝は大抵20:30頃と自然に決まってきていましたが、日の出は5:30、日没は19:30と知って納得です。
Saffordのデニーズでパンケーキ、ソーセージ、ベーコン、ハッシュブラウンの朝食。本家デニーズは分家に勝るとも劣らず…。コーヒーはやはり薄めで、気が付くとカップが一杯になっているという、魔法のコーヒーカップ。4日目ともなると、食事に何かとてつもなくいいものを期待するほうが間違っているということに気付き、どこにでもあるデニーズでとにかく腹ごしらえをしておくのが得策という考えに切り替えました。
U.S.ハイウェイ191を北上して、クリフトンに向かいます。少し落ちぶれた感のある、しかし美しい岸壁に囲まれた鉄道のある小さな町。ここから先、向かうAlpineまでの約90マイル(144km)のApache-Sitgreaves National Forestを抜けるシーニック・ルートにはにはガソリンスタンドはおろか、何のお店もないので、サークルKでしっかりとガス補給。
プラントサイトの採石場はその規模の大きさに圧倒されましたが、山道ゆえに90マイルの道のりに費やした時間は4時間を越え、案の定車酔いに悩まされてしまった学習能力のないワタシは、つけをきっちり払ったのでした。げーろげろ。
そして辿り着いたAlpineは、雪がちらついていました。雪はTVや映画の中、写真やポスター、絵葉書なら大歓迎で、決して嫌いではありませんが、その絶対条件から外れている、しかも暑気を求めて8000km以上も旅してきた私にとっては悪い方向へ来てしまった感しかありませんでした。とにかくダイナーで食事をして、さっさと退散するのが得策のようです。
ああ、食事。フランスで文字通り味を占めた、レストランでの幸せはここでは求められないの。オーダーしたのは、ローストビーフ・サンドイッチ。出てきたのは、白食パンの上にローストビーフが乗っかり、それをグレービーまみれにした茶色い液体のプレート。「サンド」されてないよう。それに、ここでも食事がぬるいよう。盛られた皿は決まって冷たいし、日本で駅構内にある立ち食い蕎麦屋だって、こんなにぬるい食べ物は出さないと思うぞ。
さっさと退散してここからさらに北西、HolbrookのKOA($20)を見つけてテントを張りました。昨日の、夕刻に美しかった炎を所有したくって、休憩の時に集めていた薪に火を点けました。マグネシウムとフリントが一緒になったキーリングの初使用は、一筋縄では巧くいかず、それでもなんとか火を熾せた興奮は、原始人のそれとあまり変わりはなかったかもしれません。ゆらゆらとめらめらと、時々ぱちんとはぜる音に目を細め、無言で火を見つめているだけで、全てを得たかのような満ち足りた幸福に包まれ、夕食でまたも失敗したイタリアンの悔しさを帳消しにしてくれるのでした。
ああ、今回はどうしても食べ物への恨み辛みから離れられない…食い意地だけは、人一倍。
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