5:20起床。ステートハイウェイ95をさらに南下して、メキシコとの国境の町、San Luisのジャック・イン・ザ・ボックス(またファストフード!)で朝食をとりました。探しているとき、必要なときには決して見つからないダイナーは、あまりに見慣れたファストフードやチェーン店の看板に埋もれているのでしょうか。「レインマン」を見て以来、ダイナーでパンケーキが食べてみたいんだけどな。
気を取り直して、徒歩で国境を通過しましたが、誰にも止められず、期待していたメキシコのスタンプもパスポートに押してもらえないまま、ずんずん進んでいくと、そこはメキシコでした。国境からたった数十メートルで、町の雰囲気ががらっと変わるのは、スペイン語の看板やサインのせいだと始めは思いましたが、後進国特有の、見上げるような視線と、早朝にもかかわらず小銭をねだる老人、老婆の存在と、歩道のタイルと、その全てが合わさって微妙な雰囲気を作り出していました。自然と緊張感と警戒心で体が硬くなるのが判ります。同じ太陽のはずなのに、陽光は何故か穢れた輝きを放っているようです。私のメキシコ体験は、10分で終了。
インターステイト8を東に進んでいくと、検問で止められました。パスポートを見せ、いくつかの質問に答え、再び走行開始です。宿を考える段になっても、もう昨日のような過ちは犯さないぞとばかりに、迷わずPicachoの個人経営キャンプサイト($16)にテントを張ることにしました。数台のRVは停まっている他は、テントサイトには私達だけで、独り占め感の強い、よい気分♪サイト内にあった蹄鉄の輪投げで遊んだり
(写真:勝利の証拠写真)、ブランコのように吊るされた日陰のベンチでゆらゆらしたり、あちこちににょきにょきと生えているプリックリーペアーズの顔を楽しんだりと、わくわく感満点です。
(写真:お茶目なサボテン♪)
シャワーを浴び、さっぱりしたところで、Eloyのイタリアンレストランで食事。若くて美形のボーイに目が覚めるようでしたが、いやこれはイタリアンビールのせいだと気を引き締め、美味しくピザを頂きました。チップを弾んでしまったのは、無垢な下心の表れかと。美形は存在するそれだけで芸術ですな。
すっかり上機嫌でテントにもぐりこみ、電車の警笛や、トラックの轟々という音に時折目覚めながらも、そよそよと流れ込んでくる風は優しく心地よく、うとうとながらの夢心地は、現実から遠く離れた、涅槃の境地かと思うくらいの平安さと、静けさと、夜半にまぶたを開けば数え切れないほどの星たちが瞬く下での安らぎは、全てを得た満足感に程近いものでした。自然や大地と一体になったような、溶け込んでしまったような、私が私でないような、熟睡しているわけではないのに、本当に暫らくぶりに安らかな夜でした。
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